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伴奏オーディション

今年もまた…と、何ともやれきれない気持ち。

秋の学習発表会シーズン。

生徒ちゃん、先週学校で「ピアノを習ってる人?」と聞かれ、手を上げたら「歌の伴奏のオーディションやるから」と、2曲分の楽譜を渡されたらしい。

どっちの曲がいいか、相談したくてレッスンに楽譜を持ってきた。

私も弾いてみる。
初見では無理。

オーディション、いつ?
わかんない

全部弾くの?
わかんない

毎年だいたいこんな感じでみんな楽譜を持ってくる。

大抵オーディションまでの日数は短い。
1、2週間ということも珍しくはない。

1週間って
そりゃあんまりだと思う。

準備ができないじゃないですか…

一般的な小学生が自力で一週間で弾けるような楽譜ではないことの方が多い。(つまり、難しい)

レッスンしてあげたくても、1週間じゃ無理。

でも子供はみんな、自分も伴奏者になれるかもしれないと思って、嬉々としてやってくる。やる気いっぱいでやってくる。


私も小学生の時に卒業式か何かで伴奏を任されたことがありました。

でも当時はオーディションじゃなかったのよね。
先生に、これ頼むねって楽譜を渡された。
放課後に練習するように言われて、暖房のない冷え切った体育館でコートを着て練習した。
先生が時々様子を見に来てくれた。
渡された「蛍の光」は、ピアノの先生にレッスンを受けなくても自力で弾ける、簡単な楽譜だった。

すごく嬉しかった。励みになったし、自信もついたし、音楽の道に進むきっかけにもなったと思う。

学校で伴奏を任されるって、子どもにとっては結構大きなことのように思う。


生徒ちゃんは、5日間の秋休み、ずっと頑張っていたようだった。

昨日LINEがきた。

「どうやら明日がオーディションらしい」と

もう、〇〇(自分の名前)は間に合わないです...
ガックリと肩を落とし、崩れ落ちるスタンプが送られてきた。

多分他のみんなも同じような感じだと思うから、頑張って練習した分は力を尽くして弾いておいで。

と返事をかえすと

もう練習するのはやめようかと思う、
と返事がきた。
友達はもう、両手でペダルをつけて弾ける、と言っているらしい。

まぁ、中には一週間で弾けるような超優秀な子もいるかもしれない。

でも一般的な小学生は、ピアノの先生が初見で弾けないようなものを、一週間では無理だと思う。

もう、練習するのはやめようかと思う。

その言葉に、心がざわめく。

今日のオーディションは、どんなだったんだろう。
生徒ちゃんからの報告はこなかった。

過去には、いざ蓋を開けたら

オーディションで弾いたのは曲の一部だけだった(え?全部弾かなくてもよかったの?)

とか

本番は2人で片手ずつ弾くから、どっちか得意な方の手だけでいいって言われた(え?片手で良かったの?)

とか、

予定されていたオーディションの日の直前に
「伴奏は〇〇くんに任せることになったから」
(そりゃぁ、あんまりです、先生)

なんていうのもありました。


生徒ちゃん、秋休みの5日間、どんなにか頑張ったんだろうにな。

もう、〇〇は、間に合わないです...

何と言ったらいいのか、言葉にならない。

せめて、精一杯練習できるだけの時間を与えてもらえれば、たとえ伴奏者に選ばれなくても、次こそ頑張ろうって思えるのかもしれない。

でもなんなんだろう、これって。

頑張る時間さえも与えてもらえないでオーディションって、なんだかなぁ...

毎年、オーディション受けることになった!と言って、嬉々として楽譜を持ってくる子供たち。

間に合わなかったその子たちの気持ちを思うとね、何とも言えなくなるのです。

先生は、子供たちのこういう状況をご存知なんでしょうか...

去年も、同じようなことをブログに書きましたっけね。

せめて、オーディションがいつあるのかは楽譜を渡す時に知らせてほしいと思う。

内容はどうなのか(曲の一部でいいのか、本番と同じように全部弾くのか、一曲を何人かで分担するようなことがあるのか)も

そして、やっぱり一番は、準備期間(練習する時間)を与えてあげてほしいと思う。

発表会やピティナステップなどは、曲を仕上げるまでに2、3ヶ月はかかるのです。

一週間じゃ、あんまりです。

目を輝かせてはりきっていた子どもたちの気持ちを思うと、オーディション、って、なんだかなぁって思っちゃうのです。