生徒のK君が小学2年生の頃だったでしょうか。
練習してきた曲のメロディに音の間違いが多かったので、楽譜をよく確認してもらうために、ドレミ(音名)で歌ってみてと言って歌わせたことがありました。
すると、驚くことにまったく歌えなかったのです。それは音程が外れているとかそういうことではなくて、棒読みにもならない、やっとやっと片言の言葉がしゃべれるような感じとでもいうのでしょうか。
みふぁ・・・そ?
・・ん?ら?・・れ、ああ、えっと・・・
と、こんな感じでした。
私の中では、「ピアノを弾く」というのは、
①まず文字を読むように音符のドレミを読んで、②それを認識した脳が指に命令して③指を動かす、というのが一連の流れ、という認識でした。
だから、音名のドレミが言えないのに弾けるなんていうことはあり得なかったのです。
でも、目の前のK君はドレミを言えないのに、その曲とわかる程度には弾いている。間違いは多かったけれども、です。
え!?・・・
え!?・・・
見よう見まねで真似弾きさせたわけじゃないのに、いったい何が起こっているんだ!?
Kくんは、いったいどんな風にして練習してきたんだろう。
頭の中にクエスチョンマークが百個ぐらい並ぶくらいの衝撃でした。