「あいうえお」を読むように音符のドレミを読み、文章を読むように楽譜がすらすら読める。それが指の動きにスムーズに置き換えられるようになると、ピアノを弾くことが楽しく楽になります。
譜を読む力はピアノを学ぶ上で最も大切な力のひとつ。上達のカギになる力です。
導入の段階で譜を読む力を身につけておけば、その後の上達はぐっと早くなります。
ちょっと思い浮かべてみて下さい。
ゲームをする時、目線はどこにありますか?
手元のコントローラーではなく画面ですね。
車の運転をする時はどこを見ていますか?
手元や足元は見ませんね。ブレーキやハンドルを見ながら運転したらぶつかってしまいますからね。
ピアノを弾く時も同じなのです。
目から入る楽譜の情報を脳で処理しながら、同時にそれを指の動きに置き換えていく。それが通常ピアノを弾く時に行っていることです。
目線は絶えず、楽譜の今実際に指が弾いている所よりも先へ先へと移していかなくてはなりません。手元を見て弾いてはいけないのです。
ピアノを弾く誰かの手元を見て、覚えて弾くことを覚え弾きと言います。
友だちが「ねこふんじゃった♪」を弾くのを見て、覚え弾きする子どもたちは、本当に楽しそうです。
耳コピも楽しいですね。楽譜を読んで弾くより、はるかに早く簡単に弾けるようになりますから。
でも、レッスンや家の練習では、これをやってはいけません。
耳コピや覚え弾きでピアノの学習を進めると、まず楽譜を読む力が育ちません。
そしてもっと悪いのは、手元を見て弾く癖がつくことです。楽譜を見ないで弾くので、目線がどうしても手元にいってしまいます。
最初のうちは手元を見て弾いても問題は起こらないかもしれません。でも、見たり聴いたりして覚えられる量には限界があります。いずれその限界を超えるほど曲が長く複雑なものになった時に、必ず楽譜を読みながら弾かなければならなくなります。
そうなった時に、あわてて楽譜を見ながら弾こうとしても遅いのです。一度身についた癖は、あとから直すのはとても大変なことです。本人にとってはとても苦痛なことで、練習が嫌になってしまうことさえあります。
そうならないように、導入のごく初期のうちから、目線は常に楽譜に置き、自分の力でしっかり楽譜を読んで行くことが大切です。
耳コピや覚え弾きで弾く力ばかり伸ばすのではなく、弾く力と読む力、このふたつをバランスよく育てましょう。
初めての楽譜をぱっと見て、その場でどの程度弾けるかは、人によって全く違います。これを「初見力」といいます。同じレベルの人でも、ある人は7割ぐらい弾けて、もう一人は2割しか弾けない、というように差があるのです。
7割ぐらい弾ける人は宿題の曲を完成させるのに必要な時間が短くてすみ、次々新しい曲を弾いていくことができますし、2割しか弾けない人は一曲を仕上げるのに時間がかかり、なかなか先に進めません。
ぱっと見て弾く力「初見力」がいかに大切かということが分かると思います。
ポコ ア ポコではこの力を高めるために、音程読みという方法でレッスンを行います。導入期からこの方法を使うことで、小さい子どもにも無理がなく、早く確実に音符を読むことができるようになります。